SoundSpace

●70年代ソウル〜ファンクのまるで遺伝子工学的な(過剰)復刻ともいえる[1]はこれまでのBESとしては珍しくカストラート…じゃなかったカウンター・テナーではない女声音域がfeat.された、いかにもアフロな感じのモチーフと、バラけたセッション風がいつになくいい感じだが、それが同曲名を冠した[2]に行くといきなりダンスホール〜ヒップホップの枠組でのSupreme Team(こんな実力派!だったのか的)組み換えとうもろこし的な展開となりメロは雲散霧消する。確かに広義のブラック・ミュージックの流れの中であり、微視的にはゴーゴー風などを含め、マイルス・リスペクトな詰め込み方のナオル・ワールドともいえるが、さらに[3]になるとメロの断片が鰯雲のように浮かんでいるというある種理想的なエレクトロニカ状態となるわけで，これらが同じ曲のバリエーション…というのはナオルくんという質草があってこそ初めて保証されるギリギリの賭けともいえるところであろう。和声的には純正調なハーモナイズを好んでいると思われる、つまり「癒し」と親和性が高いはずのBESのコワモテ面を露わにした(?)3部作の3枚目ともいえる本作，インナーに「ハガイ書」(旧約の予言書なので、日本的には聖書の…というよりユダヤ教の、といったほうが本来の位置づけに近いかもしれない)からの一節が引用されており、あたかも『アイリス』続編のような余韻を残すシングルとなっている。

《曲目紹介》

01.　 Can't Stop Loving You Album Version 　4:40

02.　 Can't Stop Loving You Philtre MIX Feat. - Supreme Team 　3:24

03.　 Can't Stop Loving You Planet Shiver MIX - Planet Shiver 　6:16

04.　 Can't Stop Loving You Instrumental 　4:40