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SEOTAIJI / The GREAT 2008 SEOTAIJI SYMPHONY with TOLGA KASHIF & ROYAL PHILHARMONIC


●2008年9月ソウルでのオケ(およびバンド)との共演。本人のMCも入る。そのオーケストレーションの出来だが、ライブであることを考えると不可ではないものの、結局ギターのリフなりドラムスのフィルなりが入ってこないと曲に復元されないというか、ソロ以降のソテジの“ロック”性を反語的に証する結果ともなっている(アレンジはトルガ・カシーフとテジ本人)。もちろんビジュアルおよび臨場感的には新たな曲(解釈)創造の現場に立ち会っているといった感動は相当に大きかったと思われるが、海外オケを使うよりも、ソテジを聴きながら成長し、音大を出てオケに就職した…的世代の国内人をかき集めたほうが、よりおっさんな世代の物足りなさ感は払拭できたのでは?とも想像される。洋の東西を問わずロックとの共演で鳴るロイヤル・フィル(英国)のみなさんがそのへんの“距離感”については計算済みだったとしても、テジ手ずから選抜(!)したバック・バンドの時点ですら、本人のタイム感から若干(nano秒レベル)の後れ(気後れも含め)が感じられるのに、いかにスコアという形で“予告”されているにしても、音楽の駆動力という点での初動速度のかかりの悪さはまぬかれず、ましてや音速340mという物理的限界が敷かれている大会場公演ともなれば、あたかも逆の意味での非機能的な竜頭蛇尾による“常山の蛇”のごとくでもある。したがって、いつかはやってみたかったテーマのモニュメント&レコードとしては、音盤化することの意味はオケの選択においても最善とはいえ、2回以上繰り返して聴かれるかどうかが最大の問題点となることが予想される展開。もちろん一聴しただけでも“20世紀を超えられない21世紀サウンド”のレベルとは別枠ではあるのだが、音盤中のハイライトと感じられるのは&アイドゥル時代(2集/93年)の[0107]「死の沼」であり、これはソロ以降のライブ盤でも再演されているとはいうものの、どうしようもなくポップ(いまとなっては正統派韓国歌謡の系譜)であり、吃水線が上がってはいるが速力の落ちない大型艦といったやや無理なスケーリング感(ある意味ではアニメ・サントラ的)が強烈で、ウイズ・ストリングスもの=軟弱化という一般公式の上では十二分に秀逸な化け方といえよう。次いでは[0209]の「ナン・アラヨ」イントロのファンファーレ風リフが弦楽トゥッティで奏されるあたりだろうか。カシーフは英国籍のトルコ系キプロス人で、そういった意味では“戦艦”を用いた喩えはまったくの的外れではないと思われるし、韓国の誇るコンポーザともいえるソテジの作品を別物に貶めることなくオケ化できていることは人選としてはオケともども及第点とはいえるが、おそらくほぼ100%彼の作品とみられる前奏曲群[0101]や[0208]はテジの作風とはほぼ無関係に、趣味のいいイングランド風(たとえばボーン・ウイリアムス的な?)でまとまっており、構成という意味でのコンポジションには隙が見られないが、その分この製品パッケージはステージの写真集ではなく、スコア1曲分を付録として売るべきものではなかったかという仮定話も出てきてしまうところである。あるいは、オケのみ伴奏と、バンドのみ伴奏と、3者(歌)を加えた版とを別々に楽しめるMusic 2.0的構成か…。結局毀誉褒貶半ばするところだが、選択としてはベターといえる記録作品であり、“持っている”ことには十分意味がある音盤ということになるかもしれない。なお、ラッパーとしてクレジットされているのはヤン社長との遠縁によるのかマスター・ウーであるが、「ナン・アラヨ」のラストではどうにもイ・ジュノがコーラスしていたような錯覚に陥ってしまうのもまた事実である。


track list
0101
TAKE ONE PROLOGUE 


7:12
0102
TAKE ONE 


5:06
0103
TAKE TWO 


5:26
0104
F.M BUSINESS 


5:13
0105
インターネット戦争 


7:18
0106
MOAI 


5:12
0107
死の沼 


4:20





0201
T'IK T'AK FANTASIA 


3:01
0202
T'IK T'AK 


4:23
0203
HEFFY END 


3:47
0204
時代遺憾 


3:42
0205
永遠 


4:26
0206
教室イデア 


5:14
0207
COME BACK HOME 


6:12
0208
僕は知っている ADAGIO 


4:30
0209
僕は知っている 


5:50
→ カナ(ハングル読み)を表示 
商品コード : STJCD-0004
製造元 : [2009/12/24]
Seotaiji company
価格 : 2,400円(税込)
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