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ナ・ユンソン / 『SAME GIRL』

(歌手)リンク(本人作/参加/曲)
ナ・ユンソン YounSun Nah
(vocal, kalimba, music-box, kazoo on 0110)



Ulf Wakenius
(guitar)



Lars Danielsson
(acoustic-bass, cello on 0106)



Xavier Desandre-Navarre
(percussion)



Roland Brival
(narration on 0111)




[曲目表]
track list
0101
My Favorite Things 


3:57
0102
My Name Is Carnival 


4:01
0103
Breakfast In Baghdad 


5:55
0104
Uncertain Weather 


3:21
0105
Song Of No Regrets 


3:45
0106
Kangwondo Arirang 江原道アリラン 


4:06
0107
Enter Sandman 


4:51
0108
Same Girl 


4:13
0109
Moondog 


4:09
0110
Pancake 


3:35
0111
La Chanson d'Helene 


5:06
[some information]

●『Voyage』に引き続きギター・トリオ〜ウルフ・ワケニウス(g)、ラーシュ・ダニエルソン(b,vc)、サヴィエ・デサンドレ・ナヴァレ(ds)をバックとした最新作。2010年4月7〜9日、スウェーデン・ヨーテボリ(イェーテボリ)録音([11]のナレーションのみパリ)。ACT/HUB MUSIC原盤で厳密には韓国へのライセンス盤扱い(HUBのex=PDは韓国系のヒト。※日本での販売に関しては特に制限はありません)。

●横文字曲名からすべて英語曲かと思いきや、究極のスタンダード=[06]「江原道アリラン」は全編韓国語で歌われる。特に無伴奏での冒頭およびリフレインでかけられる(コーラスという名の)イフェクターが、70年代韓国民謡テープを想わせるチープさを演出している、と見るのは穿ち過ぎかもしれないが、本編(ただしアリランの例に漏れず歌詞は元より節回しも部分改変可)以降は、欧州圏ではブルターニュ民謡あたりにも聞こえる可能性のあるアレンジとなっている。それに対し[12]はフランス語歌唱の文字通りのシャンソンであり,遡って[09]はブルース曲である。ジャジーに歌うロッカー=キム・ユナ(紫雨林)とブルージーに歌うナ・ユンソンの両者が極めて近い位相にあることが判明してしまう、韓国女子モノ・ファンにとってはやや禁断のトラックでもある(ただし後半はやや珍しいと思われる女声によるkazoo即興となり、ネタではなくmute trumpet状態となっており、この芸風はかなり強烈)。またK-POP的な意味ではタイトル曲だが、自身のkalimbaによる伴奏だけで歌われる[08]も弾き語り(おそらく厳密にはオーヴァー・ダブであろうが)や、典型的フォーク・サウンドである[02]についても、キム・ユナ好きには訴求力高い。これに特にカヴァー曲を歌ったときのヘウォン(WINTERPLAY)を加えると、図式的にはある種の女性ヴォーカル三竦みともいえる状況が浮かび上がってくる。裏を返すと少なくとも現状K-POP(およびJ-POP)の枠で語られうる他の2名と比較しても、サウンド上のポピュラリティでは、特に本作のユンソンがpure jazz枠的にマニアックなわけではないことになり、韓国でも歌謡コーナーにも並行的に陳列していただきたいところである(英語曲というなら他の2名も比較的その比率が高い)。
 さて、ひきつづき楽曲についてみていくと[03]は曲名通りのワケニウス作中東風(guitarはoud風に、打楽器はフレーム・ドラム風に、そしてズルナはサンプリング?)で、イスラム世界ではおそらく禁じ手の華やかな女声高域ファルセットなどテクニカルな仕掛けも手伝って曲からは宗教感を希釈する方向に動いていく。その一方、自作曲の[10]はハンド・ドラム風のリズムに導かれつつその元は韓国的な長短パターンを踏襲したもの…でありながら、途中からワウ!な感じも含め70年代、いや80年代復活マイルスな世界へ突入、ワケニウスが突如ジョン・スコ化(ベースがアコなのが反則的にイイ)してこれはライヴでも盛り上がる曲だろう。[05]はBrasil '66時代のセルジオ・メンデスものだが、チェロを中心とした伴奏(ピッツィカートとアルコ同時に聞こえるので、ラーシュの被せか?)で、原曲のハープ入りオケ伴を超えたブラジル風バッハな世界(というより本来のこのバンドの持ち味である北欧的といったほうが早いが)へ入っていっており、サッカー・チームでいうと6地域の代表が集まったぐらいにサウンド・バラエティに富む本作が一貫してヨーテボリで録音されていることに改めて気づくこととなるというオチである。そうしてみるとオープナーの[01]がトレーン的では一切なく、昨今の中では珍しく“ミュージカル”的に響くあたり、2010年の韓国では好感を持って迎えられている…のかもしれない。

商品コード : VDCD-6254
製造元 : HUB MUSIC/VITAMIN/WARNER
価格 : 2,200円(税込)
2010年8月発売。
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