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●スエ、王の男の王ことチョン・ジニョン、ユン君ことチョン・ギョンホらによる、ベトナム戦争…というよりはほとんどシン・ジュンヒョン作品とその時代背景を裏テーマにしたのではないかともいわれる映画OST。ちなみに4番手のチュ・ジンモは演劇俳優出身・1958年生まれの同ハングル別人で、特別出演のオム・テウンとはドラマ『魔王』で共演(?)していた奇縁の持ち主。

●まず、前知識としてベトナム戦争の終結は1975年である。開始は通常59年とされるが韓国軍が参戦したのは64年。したがって、64-75年の作品に関しては完全に同時代曲といえる。シン・ジュンヒョン曲のうち、(1)は無伴奏2コーラス、元歌手はキム・チュジャのはずでLPとしては69年発売(著作権申請は73年か?)。(15)はバンド付きでおそらくフル(間奏付きの2コーラス+AのF.O.)。元歌手はキム・ジョンミとみられ、吹き込みとしては73年のLPが初出((c)は72年)。最近ではパク・シニャンの無伴奏ver(『銭の戦争』)でも知られる(17)は(1)と同じ背景だが、きっちりバンド伴奏。映画タイトル同題の(20)は、サックス導入/間奏付きのフル(2コーラス)で、この時点では十分歌いこなせるようになっていたスエちゃんであるが、おそらく泣いて歌っている(という設定の)ため、かなりドラッギーな音程となっている。本来の持ち曲歌手はやはりキム・チュジャと思われ、少なくとも1970年には上梓されている((c)もやはり1970)。チョ・グァヌのリメイクで知られるこの曲だが、ほかにパク・チョンヒョン(英語!)、チャン・サイク、さらに[参考]に記載したようにコミ…と並べてくると、つまりはR&B曲としかいいようのない、後世的評価を受けている作品となるわけだが、さすがにここでのスエはブルージー(文字通りしくしく)。…とまぁ、66年の(14)「鬱陵島ツイスト」(曲はファン・ウル)含め、完全に同時代韓国曲であるわけで、例えば80年代に40年代のネタを使ってもこの程度の時代落差で済んだかというとそれは考えられないことからいっても、シン・ジュンヒョンのモダン性が証明される映画となっているわけである。…ではなくて、とにかくギターのイフェクタ類やサックスのサウンド傾向(持っているテナーがBlanced ActionではなくMark VIぽいのだが、シックスは54年ごろから製造されているらしいので時代考証はおそらく○)などもHi-Fiなまま70年代風である。